綴りと発音の関係については、フォニックスによる規則性があり、しかし、例外もある、というのが英語の基本線だとしても、規則はともかく実際はどうか(何が例外か)という問題があります。また、あるいは、同じ発音を持つ、似たような綴りの間の紛らわしさ、という問題もあります。
ここでは、フォニックス的観点とはやや異なり、「悉皆調査」と称して、WSD のデータベースを全数調査して、パターンの分類をしたものをご紹介してみたいと思います。
とはいえ、大それたものではなく、Excel 上で、検索条件を設定してヒットした単語を拾い上げて分類したもの、ということです。
なお、お断りとして、検索条件の設定により、必ずしも正確な調査になっていないかもしれません。あくまで参考としてご覧ください。
また、全数調査といっても、WSD の収録語数は、英単語ベースで18000余りであり、WSDの収録範囲を超えるレベルの単語にまでは及んでいません。
また煩雑さを避けるため、明らかな派生語は、省くことがあります。
今回は、やや素朴な(初歩的な)ものとして、/íːv/ の発音を持つ、(主として語末(語尾)の)ieve と eive を調べてみました。
-ieve の形を持つもの:
(語末)achieve, believe, grieve, relieve, reprieve, retrieve(, sieve)
(派生形)achievement, aggrieved, believer, retriever
-eive の形を持つもの:
(語末)conceive, deceive, misconceive, perceive, receive
(派生形)received, receiver, receivership
※ sieveは発音が /sɪv/ であり /íːv/ と異なります。
ここからわかることは、(調べ漏らしがなければ) -eive の形は、すべて -ceive の形であり、逆に -ieve であれば、前に c は来ない、ということです。
また、上記の -ceive 系の単語は、すべて、-ception の形の派生語を持っている一方、-ieve 系からこの形の派生は想起しがたい、ということがあります。
つまり、 ceive 系( -ception の派生語を持つ)と、それ以外の ieve 系に、かなり明確に分かれる、といえます。
なお、-ieve 系では、sieve /sɪv/ (ふるい)という例外的発音があります。ieの綴りで /ɪ/ の発音、と考えると、これはかなり数が少ないです。悉皆調査すると、
handkerchief(/-tʃìːf/ もあり), Liechtenstein, mischief, mischievous, sieve の5語だけでした。
(弱音節と固有名詞を除くと sieve のみ)
ただ検索条件の設定が難しいので、見落としがあるかもしれません。
なお、/i/ の発音は、また別で、WSD では、anomie, calorie, caries, married, movie, prairie, varied など、他にも結構あります。