英語の単語力増強に関する雑感

いわゆる英語力というとき、文法の知識や、会話的表現力や、発音の正確さなどと並び、単語力(語彙力)つまりどれだけ英単語を知っているか、ということがひとつの重要な側面となると思います。

私の受験時代には、「英語力とは単語力だ」などという標語を見た記憶もあります。

単語をたくさん知っていることは、いろいろな場面で、非常な強みになります。

しかし、いざ単語力を増強しようとした場合、それを効率的・効果的に行うことは、実際にはなかなか思うようにはいかない、というのが現実ではないでしょうか。

単語集で単語だけ記憶した形になっていても、それが実践の場で使える形になっているかどうかはまた別問題です。

 

ここでは、学術的あるいは統計的調査ではなく、私の経験を踏まえた雑感として、単語を記憶に定着させる効果の高いパターンなどについて、思うところを述べたいと思います。
専門家的論考ではなく、あくまで雑感であることを前提とさせていただきます。

 


 

伝統的・正統的な方法は、たくさん読み、新出単語(あるいは熟語・成句)を調べ、単語帳を作って繰り返し参照する、といった方法ではないでしょうか。
このやり方は、それが正統的であるだけの効果はあると思いますが、ある種の苦痛を伴う作業でもあります。

ひとつには、単語を調べるということが、辞書において同じ文字列を探す(あるいは打ち込む)作業になっている、という点が、義務的・機械的でつまらない、ということがあると思います。この作業には、インスパイアがない、というか、記憶に訴えるところが乏しいと感じるのです。
なので、新出単語を認知し、それを調べる、という行為そのものから、そのまま単語が記憶に定着する、という効果はそれほど強くはない、と感じます。ただ1回の単語調べで記憶する場合も、ないとは言いませんが、一般にそこまでのインパクトはないと思います。
それゆえ単語集を作って復習する、などといったプロセスが重要、ということになります。

 


 

単語は主として文字列で記憶されるのか、それとも音声イメージで記憶されるのか。

文字列すなわちスペリングの視覚イメージでの記憶も確かにあり、リーディングにおいては、自分の知っている文字列かどうかを調べながら進む、という側面もあるかもしれません。

他方、音声イメージも重要で、リスニングや会話などでは、音声イメージの記憶が即座に反応しないとうまくいかないと思います。またリーディングにおいても、単語が目に入ると同時に、音声イメージが先に反応することも多いと思います。

 

私のお勧めは、音声イメージの力をうまく使うことです。

リスニング環境において、単語の音声イメージは、リーディングにおける新出単語の文字列とは違い、機械的に与えられるものではなく、自らの集中力で、文脈中から他の音声と区別して認知・識別して得られるものです。

つまり、単語の音声イメージは、それが獲得された時点で、半分は、自分の頭に入ってきていることになります。そして同時に、「意味を知りたい」という欲求がおそらく自動的に生じます。

したがって、もし、得られた音声イメージから、対応する単語が辞書から検出でき意味を知ることができれば、知りたいという欲求が満たされた、ということになることから、その作業自体のインパクトはかなり大きく、文字列に関する機械的・義務的な作業に比べ、記憶に訴える力が格段に強い、と思うのです。

私の経験では、1回の単語検索から、そのまま記憶に定着してしまう、というパターンも、結構あるのです(いつもうまくいく、というわけではありませんが、その確率は文字列(綴り)からの単語調べに比べ有意に大きい、という印象です)。

しかも、音声イメージから単語が記憶された場合、同時に、その単語が発せられた状況も合わせて印象に残ることもしばしばあって、これはかなり強力です。
例えば、「何々の映画で登場人物の誰がどういった状況でしゃべった言葉」とか「何のニュースでどういったトピックについて使われた言葉」といった付随情報までいわば自動的に一緒に記憶に残ったりします。

 

認知されたものが綴りではなく音声イメージである場合、通常は、その意味・綴り・発音は、辞書により調査・確認される必要があります。
意味は、文脈からなんとなくわかることもありますが、辞書で確認されることで、しっかりしたものになります。
綴りは、音声から確実に特定されるものは少なく、しばしば意表をつくスペリングであったりします。これは調べて覚えるほかありません。
発音についても、辞書の発音記号表示と照らし合わせて、自分の認識した音声イメージがこの単語であったことを確定し、合わせて正しい発音を確認することになります(アクセントの確認も重要です)。

文脈からの類推だけでなく、辞書からの確認をも合わせて、認識した単語の記憶への定着度が高まる、といえます。

 

このパターンで使用する音源(ソース)は、どんなジャンルでもよいと思います。映画・ドラマから、ニュース、スポーツ中継まで、いろいろあります。

ただ効率がよいのは、ニュース系のTV番組だと思います。
さまざまなジャンルの話題があって単語密度が高く、それらが簡潔な文で明瞭に発音され、全体的な筋や心情を追う必要もなく、わかるところだけピックアップでき、しかも意味内容がある程度映像から推測できる、という特徴があります。

 


 

ただ、音声イメージからの単語獲得の場合、大きな問題となるのは、辞書で調べることが簡単ではない、ということです。

 

文字列(綴り)から調べる場合、語形変化などはあっても、基本的に、そこに文字列が与えられていますから、辞書を引いて目的の単語を発見できるのは、むしろ当たり前といえます(だからこそこの機械的な作業はしばしば義務的で面倒くさく感じられます)。

音声情報から調べる場合、その音声的分別が正しいとは限らず(つまり自信がない)、しかもその綴りがわかりませんから、英和辞典で調べることは一般にかなりの労力を要することになります。

仮に正しく音声を認知できていても、英語の発音と綴りの関係は、このブログでもさまざまな記事で示しているように、非常に複雑です。音の情報だけから綴りを正しく構成することは、一般には非常に大変です。

このように、うまくいけば効果の高い、音声イメージからの単語獲得も、うまくいかせるのが結構大変で、ここで効率が大きく落ちてしまうという難点があります。

 

その難点に対するひとつの対処法が、手前味噌ではありますが、WordSearch English Dictionary の利用、ということになります。

 


 

このサイトのTopページでもご紹介しているように、「ワードサーチ英語検索辞典(WordSearch English Dictionary)」(WordSearchDictionary:WSDとも称します) は、耳で聞いた音声から、未知の英単語を検索発見するための辞典です。リスニング環境における英単語検索の便を図ることを企図して作られた辞書です。

詳細は、「WSDの詳細」のページに解説がありますが、WSDでは、リスニングから目的の英単語を効率的に検索するための、さまざまな工夫がなされています。

 

 

また、本サイトに掲載されている WSD-Lite は、ウェブ上で簡便に利用いただけるようにしたWSDの簡易版で、発音記号を省き、検索用カナ・英単語のスペリング・語義 のみとしたものです。

発音記号の欄がない分、携帯端末のような限られた画面上でも、一覧性は確保しやすくなっています。

反面、正しい発音の確認や、カナは同じでも発音が異なる単語の区別などは、この辞書単体ではできず、スペリングから英和辞典等を併用する形になります。

その意味で、辞書としてのパワーは、正規版のWSDに比べ制限されますが、簡易的には英単語の検索用途として結構使えます。正確な発音については、英和辞典等で別途確認されることをお勧めします。

 

また、WSDにおいてもWSD-Liteにおいても、一覧性を重視する観点等から、語義説明はあえて簡潔なものとなっていますので、検索によって獲得された単語については、そのスペリングを元に、英和辞典等を併用して、語法・熟語・成句等を含め、詳しく調べることによって、より単語の獲得が確かなものとなると思います。
これは、「知りたい」という欲求の継続、と考えれば、二度手間とはなりません。

 


 

以上のように、リスニング環境から、音声情報をもとに「知りたい」という欲求を利用しつつ英単語を検索獲得することは、文字列をベースにした単語力増強に比べ、印象度・記憶定着効果が大きいものと考えます。

WSDやWSD-Liteは、英単語の音声からの検索に特化した辞典としての試みです。リスニング環境における英単語獲得と、単語力・語彙力の増強においても、有効な道具となることが期待されます。

 

/oʊ/と/ɔː/ その2

(広義の)オー系の音が、オー/ɔː/なのか、オウ/oʊ/なのかについて、前回(その1)の続きとして、ノ以降のもの(の抜粋)です。

 

リストは、WSDのカナ表記順です。

gnaw  /nɔː/ かじる
know  /noʊ/ 知っている
no  /noʊ/ いいえ
nor  /弱nər; 強nɔːr/ もまた~ない

綴りがoで終わる単語は、オーかオウかで言えば、/oʊ/です(doのように、/uː/になるものもあります。zooなど、ooで終わるものは、全て/uː/でした)。

Norway  /nɔ́ːrweɪ/ ノルウェー
noway  /nóʊwèɪ/ 決して~でない

foe  /foʊ/ 敵
for  /弱fər; 強fɔːr/ ~のために
fore  /fɔːr/ 前の
four /fɔːr/ 4

綴りoeが定石通り、/oʊ/になる例です。

folk  /foʊk/ 人々
fork  /fɔːrk/ フォーク

foam  /foʊm/ 泡
form  /fɔːrm/ 形

flaw  /flɔː/ きず
floor  /flɔːr/ 床
flow  /floʊ/ 流れる
fro  /froʊ/ to and fro

float  /floʊt/ 浮く
fraught  /flɔːt/ 満ちた

綴りaughtは、WSD収録単語では、draught /dræft|drɑːft/, laughter /lǽftər|lάːftər/を除き、全て/ɔːt/です。

bloat  /bloʊt/ ふくらませる
brought  /brɔːt/ →bring

綴りoaが定石通り/oʊ/となり、oughtが/ɔːt/となる例です。

blown  /bloʊn/ →blow
brawn  /brɔːn/ 筋肉
cf.brown  /braʊn/ 茶色

綴りowは、フォニックス的には/aʊ/が原則とされるようで、allow, down, powerなど多数あります。しかし/oʊ/も多数あり、blow, grow, know, own, showなど、一大勢力となっています。WSDの範囲では、/ɔː/の例はなく、他には knowledge /nάlɪdʒ|nɔ́l-/が目立つくらいです。

boar  /bɔːr/ イノシシ
bore  /bɔːr/ 穴をあける/退屈させる/→bear
bow  /boʊ/ 弓

poke  /poʊk/ 突く
pork  /pɔːrk/ 豚肉

pause  /pɔːz/ 小休止
pose  /poʊz/ ポーズをとる

poach  /poʊtʃ/ 密猟する/熱湯でゆでる
porch  /pɔːrtʃ/ 玄関

boat  /boʊt/ ボート
bought  /bɔːrt/ →buy
vote  /voʊt/ 投票

board  /bɔːrd/ 板
bored  /bɔːrd/ 退屈した
bode  /boʊd/ 前兆となる/→bide

boring  /bɔ́ːrɪŋ/ 退屈な/穿孔
bowling  /bóʊlɪŋ/ ボウリング

hall  /hɔːl/ 大広間
haul  /hɔːl/ 引っ張る
hole  /hoʊl/ 穴
whole  /hoʊl/ 全体の

ball  /bɔːl/ 球/大舞踏会
bawl  /bɔːl/ どなる
bowl  /boʊl/ 鉢/ボウリングをする

綴りallは、ほぼ/ɔːl/になりますが、shall /弱ʃəl; 強ʃæl/のような例外がわずかにあります。
ボウリングや、アメフトの「~ボウル」は、/oʊ/音に対してカタカナ語でオウ系の記法をする珍しい例です(他には、ソウルミュージックなどがあります)。

bald  /bɔːld/ はげた
bold  /boʊld/ 大胆な

mortar  /mɔ́ːrt̬ər/ 迫撃砲/モルタル
motor  /móʊər/ モーター

mall  /mɔːl, +英mæl/ ショッピングモール
maul  /mɔːl/ 大槌
mole  /moʊl/ モグラ/ほくろ/防波堤/モル

moan  /moʊn/ うめき声
mown  /moʊn/ →mow
mourn  /mɔːrn/ 嘆く

law  /lɔː, lɑː|lɔː/ 法
lore  /lɔːr/ 伝承
low  /loʊ/ 低い
raw  /rɔː/ 生の
roar  /rɔːr/ ほえる
roe  /roʊ/ 魚の卵/ノロジカ
row /roʊ/ 列/ボートをこぐ

log  /lɔːg, lɑg|lɔg/ 丸太
rogue  /roʊg/ 悪漢

loath  /loʊθ/ 嫌って
loss  /lɔːs|lɔs/ 損失
wrath  /ræθ|rɔθ, rɔːθ/ 激怒

laud  /lɔːd/ 賞賛する
load  /loʊd/ 積み荷
lord  /lɔːrd/ 統治者
road  /roʊd/ 道路
rode  /roʊd/ →ride
cf.loud  /laʊd/ 音の大きい

綴りouは、/aʊ/が最も一般的で、count, foul, pouch, proud, southなど多数あります。/oʊ/は、thoughなどoughの形か、soulなどoulの形以外はごく例外的(cantaloupe /kǽnəlòʊp|-lùːp/など)となります。/ɔː/は、目視で調べた限り、すべてoughかoughtの形の単語のようです。なお、ouの綴りでは、他に/uː/ (group, soupなど)、/ʌ/ (couple, touchなど)、/ʊ/ (could, souldなど)、語尾のousでの/ə/などがあり、結構バリエーションがあります。

lawn  /lɔːn/ 芝生
loan  /loʊn/ 貸付金
lone  /loʊn/ ただ一人の

 

以上、オー系で、オーとオウの違いのある単語の抜粋でした。

 


 

(注)綴りと発音についての記述は、学問的に厳密なものではありません。

 

/oʊ/と/ɔː/ その1

日本語には、もともと二重母音というものがないそうで、日本語化したカタカナ表記つまりカタカナ語においても、/oʊ/の音を持つ単語は、オープン、オーバー、ゴールド、ホープ、ストローク、トータル などというように、/ɔː/をカナ表記したような表記法になるのが通常です。

英語の二重母音は、他にも/eɪ//ɔɪ//aɪ//aʊ/がありますが、/eɪ/がエーになる傾向がある(ケース、グレード など)ほかは、チョイス、ファイブ、ハウス のように、比較的に素直な対応になっています。ちなみに、英語に/eː/という発音はないので、エー系のカタカナ語は、ほぼシステマティックに/eɪ/にすれば、元の母音になるといえそうです(英語の発音としては/æ/がエーに聞こえるなどは考えられますが、上はカタカナ語の話です)。

 

ここでは、英単語における/oʊ/と/ɔː/が、ともにオーとして認知されたときに類音化する例を挙げてみたいと思います。またあわせて、(広義の)オー系の音が、オー(/ɔː/)なのか、オウ(/oʊ/)なのかについて、綴りとの対応(フォニックス的考察を含む)についても気づいたことを述べたいと思います。
同じ綴り字のパターンでも、(広義の)オー系以外の音(/ɑː//ʌ//uː/など)についてはここでは問題にしません。オー系以外の発音の態様については、こちらの記事「英語の母音と綴り字(27) 一覧表」などをご参照ください。

 


 

WSDでは、カナ表記上、/oʊ/をオウ系に、/ɔː/をオー系に区別して表記しています。WSDにおける検索用カナの表記については、こちら「WSDの詳細」をご覧ください。

ここでは、/oʊ/を持つ単語について、WSDに一時的にオー系の見出しを追加してみたときに、カナ表記に重なりがあったものを拾い出しています。目視チェックであり、また選別もしていますので、網羅的リストではありません。
また、カナ表記の同一性から、l と r、b と v、s と th などに違いのあるものも合わせて出てくることがあります。
以前の記事でも述べましたが、英音においては、/ɔːr/は/ɔː/なので、リストはそれも含みます。

以下のリストは、WSDのカナ表記順です。
なお、識別のため、語義をごく簡単に載せています。

 

aboard  /əbɔ́ːrd/ 乗って
abode  /əbóʊd/ 住居/→abide

綴りoaは、一部の例外(broad, abroadで/ɔː/)を除き全て/oʊ/なのですが、oarではむしろ/ɔːr/が通常です。
語尾にサイレントのeがきて/oʊ/となる単語は多数あります。

war  /wɔːr/ 戦争
wore  /wɔːr/ →wear
woe  /woʊ/ 悲哀

綴りarは、art, largeなど、アー系の音も普通にあるのですが、オーかオウかで言えば、/ɔːr/といえます。
綴りoeは、オーかオウかで言えば、/oʊ/です(フォニックス的にはサイレントのeの特別な形ともいえます)。

walk  /wɔːk/ 歩く
woke  /woʊk/ →wake

綴りaひとつの場合、オーかオウかで言えば、/ɔː/です。

awe  /ɔː/ 畏敬
O, oh  /oʊ/ おお!
owe /oʊ/ 負っている
oar  /ɔːr/ 櫂
or  /弱ər; 強ɔːr/ ~か~
ore  /ɔːr/ 鉱石

綴りaw, awe は、オーかオウかで言えば、/ɔː/です。
綴りow, owe は、オーかオウかで言えば、/oʊ/です。

odor(odour)  /óʊdər/ におい
order  /ɔ́ːrr/ 順序

oat  /oʊt/ オート麦
ought  /ɔːt/ すべきである

綴りoaは、一部の例外(broad, abroadで/ɔː/)を除き/oʊ/です。
綴りouは、オーかオウかで言えば/oʊ/が多いのですが、oughtの形では/ɔːt/となります(例外はdrought /draʊt/)。

quart  /kwɔːrt/ クォート(容量)
quote  /kwoʊt/ 引用する

claw  /klɔː/ かぎづめ
crow  /kroʊ/ カラス

綴りawは、オーかオウかで言えば、/ɔː/です。
綴りowは、オーかオウかで言えば、/oʊ/です。
ちなみに、au, ouの場合も一般にそうなのですが、例外もあります。

close  /kloʊs/ 接近した
cloth  /klɔːθ|klɔθ/ 布
cross  /krɔːθ|krɔθ/ 十字架

綴りoは、サイレントのeではない場合、オーもオウもあります。/oʊ/と/ɔː|ɔ/の両方の可能性があります。forum, storyのように、後にrと母音が続く形で、/ɔː/となるものもあります。
またここでは取り上げませんがもちろん/ɑ|ɔ/系の単語も多いです。

clause  /klɔːz/ 条項
close  /kloʊz/ 閉じる
clothe  /kloʊð/ 服を着せる
clothes  /kloʊz, kloʊðz/ 衣類

gloss  /glɑs, glɔːs|glɔs/ 光沢/注釈
gross  /groʊs/ 総計の
growth  /groʊθ/ 成長

綴りoについて、同じrossでも、crossでは/ɔː|ɔ/、grossでは/oʊ/です。英語の発音は結構複雑なのです。

coast  /koʊst/ 海岸
cost  /kɔːst|kɔst/ 費用
(ghost)  /goʊst/ 幽霊

綴りoaは定石通り/oʊ/ですが、綴りoは単純ではないという例です。

caught  /kɔːt/ →catch
coat  /koʊt/ 上着
court  /kɔːrt/ 法廷

call  /kɔːl/ 呼ぶ
coal  /koʊl/ 石炭

gall  /gɔːl/ 胆汁/すり傷
goal  /goʊl/ 目標

shawl  /ʃɔːl/ 肩掛け
shoal  /ʃoʊl/ 浅瀬/群れ

scrawl  /skrɔːl/ 殴り書きする
scroll  /skroʊl/ 巻物

store  /stɔːr/ 店
stow /stoʊ/ しまい込む

stall  /stɔːl/ 失速/時間かせぎする
stole  /stoʊl/ →steal/肩掛け

snore  /snɔːr/ いびきをかく
snow  /snoʊ/ 雪

saw  /sɔː/ のこぎり/→see
sew  /soʊ/ 縫う
so  /soʊ/ そのように
sow  /soʊ/ まく
soar  /sɔːr/ 舞い上がる
sore  /sɔːr/ 痛い
thaw  /θɔː/ 解凍する

綴りewは、オーかオウかで言えば、/oʊ/です。

sawn  /sɔːn/ →saw(のこぎりで切る)
sewn  /soʊn/ →sew
sown  /soʊn/ →sow
thorn  /θɔːrn/ とげ

chalk  /tʃɔːk/ チョーク
choke  /tʃoʊk/ 窒息させる

toe  /toʊ/ つま先
tow /toʊ/ 牽引する
tore  /tɔːr/ →tear(裂く)
tour  /tʊər|tʊə, tɔː/ 旅行

door  /dɔːr/ ドア
dough  /doʊ/ パン生地

綴りoughは、enough /ɪnʌ́f/, cough /kɔːf|kɔf/, through /θruː/, though /ðoʊ/, bough /baʊ/など、いろいろな発音があります。オーかオウかで言えば、/oʊ/も/ɔː|ɔ/もあります。
ただし後にtがついて、oughtとなると、上述のように/ɔːt/の形(例外はdrought /draʊt/)になります。

taught  /tɔːt/ →teach
taut  /tɔːt/ ぴんと張った
tort /tɔːrt/ 不法行為
tote /toʊt/ 運ぶ/合計する

tall  /tɔːl/ 背の高い
toll  /toʊl/ 鐘の音/通行料

dole  /doʊl/ 施し物
doll  /dɑl, dɔːl|dɔl/ 人形

綴りollも、単純ではありませんが、doll, atoll以外は/oʊ/の形になるようです。

drawn  /drɔːn/ →draw
drone  /droʊn/ ドローン

 

以上が、カナ表記でア~トのもの(からの抜粋)です。
ノ以降のものは、次回に続きます。

 


 

(注)綴りと発音についての記述は、学問的に厳密なものではありません。

 

同音異綴語:2通りのもの(2)

2通りの同音異綴語のペアの続きです。

 

pail / pale     pain / pane     peace / piece     peal / peel     (pedal / peddle)     peer / pier     (pendant / pendent)     petit /petty     pi / pie     plain / plane     plum / plumb     pole / poll     (populace / populous)     pore / pour     pray / prey     (principal / principle)     prize / prize(prise)     (profit / prophet)

racket / racket(racquet)     raise / raze     rap / wrap     read(p,pp) / red      read / reed     reek / wreak     rest / wrest     review / revue     rigor / rigor(rigour)     ring / wring     road / rode     roam / Rome     roe / row (注:”生の”はraw/rɔː/)     role(rôle) / roll     rote / wrote     rung / wrung     rye / wry

sac / sack     sail / sale     saver / savor(savour) (注:”サーベル”はsaber(sabre))     scene / seen     scull / skull     seam / seem     (seaman / semen)     serf / surf     sewn / sown     shear / sheer     sink / sync(synch)     slay / sleigh     soar / sore     son / sun     spec / speck     stair / stare     stake / steak     (stationary / stationery (米音では/è/))     steal / steel     stile / style     story / story(storey)     straight / strait     succor(succour) / sucker (注:”サッカー”はsoccer)     suite / sweet

tail / tale     taper / tapir     taught / taut (注:”運ぶ”はtote/toʊt/)     team / teem     tear(涙) / tier     threw / through     throe / throw     throne / thrown     thyme / time     (tighten / Titan)     tire / tire(tyre)     toe / tow     troop / troupe

vale / veil     venous / Venus     vice / vise(vice)

waist / waste     wait / weight     waive / wave     waiver / waver     war / wore     ware / wear     warn / worn     way / weigh     weak / week     weakly / weekly     weir / we’re     who’s / whose

yoke / yolk     your / you’re

 


 

なお、英音で語尾などの/r/が発音されないことで、英音で同音異綴となるものもかなりあります。

例えば、/ɔː/と/ɔːr/に関するものとして

draw / drawer(引出し)     flaw / floor     gnaw / nor(他に弱音もあり)     law / lore     pawn / porn     raw / roar     sauce / source     sought / sort

先の記事と重複しますが、上掲のリストに加えて3通り以上になるものとして、

awe / oar / ore /or     paw / poor / pore / pour     saw / soar / sore     taught / taut / tort

などがあり、/ɑː/と/ɑːr/の場合は、先に示した ah / are / our / R のほか、2通りのものとして、

ma / mar     spa / spar (注:”拍車”はspur/spəːr/)

などがあります。

また、/j/や/h/などが発音されないときに同一の発音になるものとして、例えば

dew / due / do(他に弱音もあり)

ware / wear / where     watt / what     wail / whale     we’ll(他に弱音もあり) / wheel     wet / whet     weather / whether     witch / which     wither / whither     wig / Whig     wile / while     wine / whine

などがあります。

さらに他のパターンもあり、それらを網羅的に調べるのは困難です。上記の例もあくまで一部です。

 


 

3通り以上の同音異綴語については、こちらの記事をご覧ください。

 

同音異綴語:2通りのもの(1)

WSDのなかで、2通りのペアになった同音同綴語は、文字列検索上は265組ありました。

数が多いので、発音記号は原則として省略し、単語のペアのみを示すこととしました。片方がアルファベット1文字であるとか、実質的に同一語と思われるものなどは省きました。

このリストが検索の制約上網羅的ではないことは、「同音異綴語:3通り以上のもの」の記事で述べたとおりです。

 

なお、綴りに違いのある部分が、単独の曖昧母音/ə/あるいは/ə/に対応する場合、発音記号表記では同一でも、単語の発音が必ず全く同じ、とするには躊躇があります。曖昧母音/ə/の発音には、地の綴りの影響が入って、微妙に響きが異なることがあるからです(竹林滋・桜井雅人「英語の演習1 音韻・形態」p28 等)。
同様のことは、弱母音の/ɪ/において、綴りが e か i という場合にもあてはまります。

ここでは、発音/ə/あるいは/ə/において綴りが異なる場合、また弱母音の/ɪ/において綴りが e と i で異なるという場合には、原則としてペア全体を括弧に入れて示すこととしました。

(注)語尾などの/ə/については、辞典によって、いわゆる音節主音的子音の形で完全に/ə/を省略して表記しているものもありますが、WSDでは、原則的に、/ə/は表記する、という流儀をとっています。

 

ad / add     aid / aide     ail / ale     all / awl     altar / alter     arc / ark     ascent / assent     aural / oral

bail / bale     ball / bawl (注:”鉢”はbowl/boʊl/)     banc / bank     bare / bear     base / bass     beach / beech     beat / beet     benzene / bensine     Bern(Berne) / burn     berry / bury     berth / birth     bite / byte     blew / blue     bloc / block     boar / bore     board / bored     boarder / border     born / borne     bough / bow     brake / break     bread / bred     (bridal / bridle)

cache / cash     cannon / canon     canvas / canvass     (capital / Capitol)     (carat / carrot)     cast / caste     cede / seed     cell / sell     cellar / seller     censor / sensor     cereal / serial     cession / session     chord / cord     chute / shoot     clew / clue (注:”乗組員”はcrew/kruː/)     coarse / course     coco / cocoa     colonel / kernel     (complementary / complimentary)     (complement / compliment)     comptroller / controller     coo / coup     coop / coupe     core / corps     (council / counsel)     (councilor(councillor) / counselor(counsellor))     creak / creek (注:”派閥”はclique)     curd / Kurd (注:”カード”はcard/kɑːrd/)     (cymbal / symbol)     (cypress / Cyprus)

dam / damn (注:”口のきけない”はdumb/dʌm/)     Dane / deign     dear / deer     descent / dissent     desert(捨てる) / dessert     dew / due     die / dye     discreet / discrete     doc / dock     done / dun     draft / draught     (dual / duel)

earn / urn     eerie / Erie     (elicit / illicit)     (elusive / illusive)     (erupt / irrupt)     (eruption / irruption)

faint / feint     fair / fare     fate / fete(fête)     feat / feet     fiancé / fiancée     fin / Finn     finish / Finnish     fir / fur     fisher / fissure     flair / flare     flea / flee (注:”自由な”はfree)     flew / flu     flour / flower     forth / fourth     foul / fowl     franc / frank (注:”側面”はflank)     fuse / fuze

gage / gauge(gage)     gait / gate     gene / jean     gild / guild     gilt / guilt     (gorilla / guerrilla(guerilla))     grate / great     grill / grille(grill)     grisly / grizzly     groan / grown

hail / hale     hair / hare     hall / haul     hay / hey     hear / here     heard / herd (注:”堅い”はhard/hɑːrd/)     heroin / heroine     hew / hue     hi / high     ho / hoe     hoard / horde     hoarse / horse (注:”ホース”はhose/hoʊz/)     hole / whole     (humerus / humorous)

(idle / idol)     in / inn     its / it’s

knead / need     knew / new     knight / night     knightly / nightly     knot / not     know / no

lade / laid     lain / lane     lama / llama     leach / leech (注:”届く”はreach)     lead(鉛) / led     leak / leek     leant / lent     (lessen / lesson)     levee / levy     liar / lyre     lichen / liken     loan / lone (注:”芝生”はlawn/lɔːn/)     lumbar / lumber

made / maid     mail / male     maize / maze     manner / manor     mark / marque     marshal / martial     (medal / meddle)     (metal / mettle)     meter / meter(metre)     might / mite     miner / minor     moan / mown (注:”嘆く”はmourn/mɔːrn/)     moose / mousse     morning / mourning     mucous / mucus

(naval / navel)     nay / neigh     none / nun

one / won

 

p 以降の例、及びその他のパターンについては、次回に続きます。

 


 

3通り以上の同音異綴語については、こちらの記事をご覧ください。