英語の母音と綴り字の対応について、今回は、母音 / ɪər / すなわち / ɪɚ|ɪə / と、/ ɪər / すなわち / ɪr|ɪər / について、WSDから調べたものです(前の / ɪər / の r および後の / ɪər / の ə はイタリック体です)。
なお、WSDでは、発音記号に / ɚ /(かぎ付きシュワー)を用いず、原則的に、米英まとめて / ɪər / / ɪər / の記法を用い、WSD中で米音英音を書き分ける場合は、
/ ɪɚ|ɪə / は、/ ɪər|ɪə / :米音の r はイタリック体
/ ɪr|ɪər / は、/ ɪər|ɪər / :米音の ə はイタリック体
という記法になります。
以下、/ ɪər /(/ ɪɚ|ɪə /)の音を作る綴り字と、その単語の例を示します。
ear : appear, clear, ear
eer : beer, cheer, volunteer
ere : here, mere, severe
ier : cashier, fierce, tier
以下は例が少なくなります。
ir : souvenir
eir : weir, weird
また、米音のみの例となりますが、
iere : brassiere(brassière)(/brəzɪ́ər|brǽziə/), premiere(première)(/prɪmɪ́ər|prémièə/)
また、地名・人名ですが、
yr : Kyrgyzstan (/kɪ̀ərgɪstάːn, -stǽn|kə̀ːg-/)
eare : Shakespeare (/ʃéɪkspɪər/)
があります。
/ ɪər /(/ ɪɚ|ɪə /)の後にさらに母音が続く場合、/ ɪər /(/ ɪr|ɪər /)の形になります。
以下、/ ɪər /(/ ɪr|ɪər /)の音を作る綴り字と、その単語の例を示します。
この形の単語は、上段に挙げた単語の派生語であることも多いです。
er : cereal, experience, material
ear : appearance, hearing, weary
eer : cheery, peerage, steering
ere : hereabouts
eo : theory (/θíːəri, θɪ́əri|θɪ́əri/)
やや特殊なものに、
ir : delirious (/dɪlɪ́riəs|-lɪ́ər-/)
があります。
(注)綴り字・単語の列挙について、一般に
綴りと発音については、WSD書籍版のデータに依拠しています。
例が1個あるいは2個しか挙がっていない場合でも、その1語あるいは2語のみ、という強い主張をするものではありません(悉皆調査ではありません)。
イタリック体の発音記号(/ə/など)は、環境によってはうまく表示されないかもしれませんが、よろしくご了承ください。
その他、詳しい注記については 短母音 / e / :母音と綴り字(1) の記事と注をご参照ください。
また、英語の母音と綴り字(27) 一覧表 で、記事にした母音全体について概観(一覧表)があります。